【光の、音の、ない世界】
(万斉+似蔵)盲目の男の盲目さには呆れるものがある。
(これは洒落ではない、断じて)
「似蔵殿、首尾は如何か」
「ああ」
「上々?」
「…ああ、ちょっと、黙っておいてくれねぇか」
「……ふむ」
見えていない筈の岡田似蔵の視線の先には、見慣れた笠の姿。
(――晋助、)
黙っていろと言われたので、声には出さずにその名を呼ぶ。
そういえば隣に立つこの男は、なかなか彼の名前を口にしない。
いつも「あの人」「あの人」といって、核心を避けているように思う。
それさえも盲目である証拠だ。
(気味の悪い心でござる)
本当に見えていないのだろうか。
高杉晋助という男以外は。
(こんなに妄信されれば、気分も良いだろうな、晋助)
そんな風に考えていると、ふと似蔵の気がこちらに向くのがわかった。
「あの人は…血の臭いがするね、とびきり安心するくらいに」
「だから見えなくても位置がわかる?」
「でも、アンタは“におい”がしない」
「……拙者に消臭効果があるとは知らなかったでござる」
高杉以外のことでは簡単に核心をつく男。
そんな男の言葉におどけてみせる。
光を映さない彼の目には、嘘も通じないことはわかっていたけれど。
「フン、嗅ぐわないとは気味が悪いねェ」
「それはさっき拙者が似蔵殿に抱いた感想と同じでござるよ」
「知らねぇな、そんなこと……もう、良い。黙ってくれ」
見えていない男。それでも、見えすぎるほど見えている男。
ああ、やっぱり考えれば考えるほど気味が悪い。
(拙者もこの両の耳を潰せば、聞こえてくる音楽もあるのだろうか?)
そうすれば不幸なくらいの幸せがやってきて、
そうして、やがて聞こえなくなるのだろうか。
「あの人」の声以外には。
呆れるくらいの盲目さで、名前を呼ぶのもこわいほど。
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実はこれ某にゃんにゃんの日に書いたんですけど、
巷が猫耳祭なのに一人だけ万似とか流石にねーよと思って自重しました。
でもコイツらにゃんにゃんだと思います。可愛いよ二人とも。やばいよ。
高杉に信仰する似蔵を見て「きめぇww」と思いながら
自分も相当気持ち悪い事を考えている万斉とかを妄想しました。
あと万斉には体臭とかない、絶対ない、っていう私の夢見がちな何か。
匂うとしても整髪料の匂いとかで、万斉の個性ではないと思います。
高杉とかはお洒落(笑)なので色々な香りを選んで楽しんでそうですね。
それを全て洗い流されるほど銀さんに愛されてしまえば良いと思いますけど。
明日から3月ですね。正直心が痛いです。就活やってねぇ。
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