【人斬りの腕時計】
(万斉×高杉)「どうしたんだ、そいつ」
「そいつとは、どいつのことでござろう」
万斉のふざけた返答に、高杉はふん、と鼻から息を漏らす。
わかりきっているくせに、とでも言いたげな態度である。
勿論、万斉は高杉が何について尋ねたのか、良くわかっていた。
(そうしてわかりきっていることを敢えて聞くのが好きな性質だった)
(昔から、ずっと、)(ずっと)
「ただの貰い物でござるよ」
万斉の手首には、いかにも高価そうな腕時計が嵌められていた。
全身を黒で染める彼にはあまりにも似合わない装飾。
高杉が疑問に思うのも当然だろう。
ヘッドフォンとサングラス以外で。
普段からアクセサリーなど、およそ無縁な男の腕時計。
(なんとも奇妙な光景だということも、自分自身が一番良くわかっている)
「貰い物、ねェ…随分洒落たモンじゃねぇか。そんなもの、誰から」
「ふふ、饒舌だ。晋助にしては珍しく積極的でござるな」
「お前の珍しさには敵わんさ」
俺の方が数倍まともに身につけることが出来るだろう、と高杉は言った。
そして手を伸ばして、万斉の腕時計に触れようとする。
白い手。細い指。きっと彼にも似合わないのに。それでも、万斉よりはマシだという。
そうかも知れないなどと考えて、想像して、万斉はおかしかった。
高杉の似合わなさも。己の似合わなさも。実におかしい。滑稽にすぎる。
「めずらしい……珍しいものは、好きだぜ」
力任せに引き千切られるだろうかという予想を裏切って、
高杉はその時計の輪郭を、あまりにも優しい手つきでなぞった。
(きっとその奥にある本当の価値を確かめようとしているのだ)
「……ああ、だめだ。おかしいな。笑っちまう」
腕時計と戯れながら、高杉が不意にけらけらと笑いだすので、
万斉もつられて、いっそ笑い転げてしまいたくなる。
(嗚呼、)わかりきっているくせに。
似合わない、珍しい、などと言いながら、高杉は万斉を見抜いてしまうのだ。
「拙者は人斬り以外には、なれぬでござるなぁ?」
(そうしてわかりきっていることを敢えて聞くのが好きな性質だった)
(昔から、ずっと、)(ずっと)
この手に刀以外が似合わないことを知っている。
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皆さん既にご存知なのかも知れませんが、私は初めて出会いまして、
あまりにも万斉への愛がパねぇ!と思ったのでご紹介させていただきます。
どうやったらこんなにこんなことになるのか私にはわかりません。すごい!笑
万斉の愛されように全世界が嫉妬するしかないんじゃないでしょうか。
あと、うちにある唯一の万+通を紹介してくださっていたのが嬉しいです。
そうか、昨日はお通ちゃん誕生日だったんですね!おめでとうきびうんこォォ!
あれは何気に沢山コメントいただいた作品なので個人的にもお気に入りです…
多分銀高以外の小説ではナンバーワンの人気を誇ると思います。
ま、ナンバーワンとか誇るとかいっても大したことはないわけですけども。笑
そして、こちらの愛情を越えた次元にあらせられるサイトさまに影響されて、
微力ながら万斉作品を増やすお手伝いをするぜ!と思った末に
万斉のお題をお借りしたので、ちょこちょこブログで吐き出そうと思います。
そしてコンプリートしたらまとめてサイトにあげる予定で。いきます。たぶん。がんばる。
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